狂気とは自分の考えを伝える力がないこと

「狂気とは自分の考えを伝える力がないこと」

"insanity is the inability to communicate your ideas"

これは、パウロ・コエーリョという作家の「ベロニカは死ぬことにした」という小説に出てくる登場人物の言葉で、この小説自体は私にとってはさほどのものではなかったのだが、この一言だけは深く心に残っている。残っていて、ことあるごとに思い出し、実際その通りかもしれないと考えるようになった。

例えば私が非常に歪んだ考えを持っていたとして、例えば、以前私は「子供を持つなら絶対に女の子出なくちゃ嫌だ」と思っていたわけだが、なぜそう思うのかは長らく説明ができなかった(そもそも、特に歪んだ考えだとは思ってもいなかったのだけど。)。でも、結局のところそれは「私自身のスペアが欲しい」という身も蓋もない欲求だったことに気づいて、そのように表現できるものであることが分かった時に、女の子を産みたいという欲求はあっけなくも消えてしまった。それは「狂気が1つ消えた」と言える体験だった。

そういうことを体験して、もしかして、こうやって自分の歪んだ欲望や衝動に1個ずつ理路をつけていくことができれば、そういうものから解放されるのではないか、と思った。

ある意味こうしてブログを書くようになったのも、そういう「狂気を解く」試みの一環であったかもしれない。そもそも、表現欲求というのはいずれもそういう試みに人間を導くためにあるものなのではないか、とすら思うのである。

ブログを書く目的意識がはっきりしたところで、もう遅いのでお休み。